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平和を実現する思考実験/ もしあなたが神様なら

受験世界史の地図」管理人しまうまです。東大生ですね。noteでは初投稿になります。

 さて、今日は壮大な議論を展開してみようと思います。テーマは「平和」です。分野としては国際関係論になります。

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思考実験のセッティング

 さて、あなたは神様です。神様の下には箱庭があり、人間どもが国を作って暮らしています。人間たちには意思があり、神様と言えども人間を精神的に支配することはできません。できるのは、知恵を授けることだけです。

 そして、平和の定義は「国どうしの戦争が起こらないこと」にしましょう。

 こんな状況で、神様のあなたはどうやって平和を実現させればいいでしょうか?

 ちょっと面白くなってきましたね。

 

世界政府の樹立

 一番最初に考えられるのが、世界政府の樹立です。戦争は少なくとも2カ国いなければできませんから、世界に一つの国しかなければ戦争は起きないという理屈です。

 では、神様、「箱庭の国々よ、世界政府を樹立せよ」と知恵を吹き込んでください。

 フー

 あれおかしいですね。どの国にもそんな力はなさそうです。「神様、そんなの無理じゃあ。むしろ、『天下統一』とか言ってアホがいっぱい出てきて戦争が増えたんじゃあ」って、人々の叫びが聞こえてきます。

GAME OVER…

 

国際社会は無政府状態

 いうまでもないですが、世界政府の樹立はヒジョーに難しいのです。

 現実の国際社会には、政治主体として政府の上位概念は存在しないのです。

 これを国際関係論では「アナーキー(無政府状態)」といいます。

 この中で、どうやって平和を実現するか考えてみましょう。

勢力均衡

 ここで出てくるのが「勢力均衡」です。

 同じくらいのレベルの国だけが存在する状況にして、「俺なら天下統一できそう」とか思ってしまう大国の出現を抑制します。

 この考え方はわりと歴史に出てきます。三国志演義諸葛孔明「天下三分の計」、1815年以降のウィーン体制などです。

 では、神様、「箱庭の国々よ、勢力均衡のための国際会議をひらけ」と知恵を吹き込んでください。

 フー

 あれおかしいですね。最初は、太郎の国・二郎の国・花子の国の勢力は均衡してました。けれど、徐々に花子の国が強くなって、また戦争が起きちゃいました。

GAME OVER…

 実際に、ウィーン体制ができた後、躍進したドイツのために多くの戦争が勃発しました。普墺戦争普仏戦争第一次世界大戦第二次世界大戦です。

 勢力均衡は万能ではないのです。

市場メカニズム自由貿易

 それでは、国家ではなく、人々に注目してみてはどうでしょう。

 つまり、強い国を作るのではなく、一人一人を豊かにするのです。

 経済学では、どうしたら社会が豊かになるのか理論的に導出しています。

経済学の答え:お客目線で安く買えて、商売人目線で高く売る。そのバランスが絶妙だと、国全体は豊かになる。

 厚生経済学によれば、それは自由に売り買いした時にバランスが取れます。

 自由に売り買いしたときに、国全体が豊かになる仕組みを市場メカニズムと言います。

※この議論を見てみたい人は、ミクロ経済学の中の厚生経済学を学びましょう。深いのでここでは触れません。

 自由に売り買いしたときに人々が豊かになるなら、もちろん、貿易は自由にした方がいいです。これを自由貿易と言います。

 では、神様、「箱庭の国々よ、自由貿易体制にしろ」と知恵を吹き込んでください。

 フー

Congratulations!

 お!素晴らしい。世界経済がもりもり成長してきました。人々は豊かになってます!

 まさに「神の見えざる手」ですね。

今、国際的に採用されている平和理論

 実は、今の世界で採用されている平和理論は、「自由貿易体制」です。

  (※方向性だけで本当の自由貿易体制はまだ実現されていません。)

 もし自由に商売ができるなら、国境なんぞ関係ありません。自由貿易が活発になると、

 戦争をするメリット<戦争をしないメリット

になります。こうして、「武力による平和」ではなく、「豊かさによる平和」が達成されるのです。

 ちなみに、これは、第二次世界大戦ブロック経済とよばれる保護貿易のために発生したことへの反省です。資本主義国が社会主義国に勝利し、世界経済がかつてないほど栄えているのは、「自由貿易体制」という理念があったからです。

 逆にトランプの保護貿易政策は、経済学によって導出された自由貿易の理念に反するわけです。

エピローグ

 さて、神様、箱庭の国々はいまだ統一されてませんが、自由貿易で世界は豊かに平和になりました。

 さあ、飲みにいきましょう!鳥貴族なんてどうですか?笑

  〜一方、その頃、箱庭〜

人々「確かに国は豊かになったが、何かおかしい。裕福な人はさらに裕福になり、貧しい人はさらに貧しくなってる。貧しい人の不満は溜まってる。このままでは国が二つに割れてしまう!!!!」

経済学者「厚生経済学によれば一括型の適当な課税・補助金で最適化でき…」

貧しい人々「うるせえ。自由主義なんて糞食らえだ!経済学者に従ったたおかげで貧乏になっただろうが!」

富裕層「ホッホッホ、もうちと税金安くなりませんかのお。なんで我々は努力の足りない人を支援しなくてはいけんのですか?」

貧しい人々「なんだともう一回言ってみろ!貧しい人はな、いい教育受けれないんじゃあ。これは個人の問題じゃなくて、社会の問題なんじゃ」

人々「神様どこ〜〜〜〜?泣」

 

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